高専改革推進経費
組み込み技術教育システムの構築とその高度化
奈良高専担当分2011年度レポート

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1.試作ボートおよび量産ボードについて

 専用のプリント基板を設計して量産向けのボードの製作に入る前に、手配線での試作ボードを製作した。試作ボード、量産向け基板、量産向け基板に部品を実装したものを写真1に示す。量産向けボードの外観を写真2に示す。これらの設計にあたっては、同規模の既存製品として、AVNET社 S6 LX9 MicroBoard 、Xilinx社 SP605-G-J を購入し性能、使い勝手等を検討し参考にした。 量産向けボードの大きさは15cm×10cmとし、市販のはがきケースに収まるサイズとした。回路構成はできるだけ簡素な構成とし、FPGAにはじめて触れる学生への難解なイメージを与えないよう工夫した。また、汎用スペースも設け、実習内容に伴う機能拡張にも対応できるようにした。ボードには最新のXilinx社のSpartan6シリーズFPGAで、MicroBlaze等のソフトコアCPUを搭載可能なロジックサイズのものを搭載した。

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写真1 試作ボード、
量産ボードの外観
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写真2 量産ボードの外観
 

2.進捗状況

 量産ボードの完成が年度の終わりとなったので十分な評価はできていながいくつかの場で試用、発表を行った。
(1)奈良高専電気工学科本科5年選択科目 コンピュータ応用での試用
 コンピュータ応用ではマイクロコンピュータ関連の技術について幅広く扱っているが、FPGAについても、4回程度の講義を行っている。今年度はFPGAについての概要の座学2回の後の2回にわたり本ボードを利用したデモンストレーションと実習を行った。簡単な回路の実装であったが実機を使った演習については興味を持って取り組んでいた。
(2) 奈良高専電気工学科本科5年卒業研究での試用
 卒業研究での要素技術の習得の場面で本ボードを試用してみた。従来の市販のボードにくらべ簡素な構成になっているので、動作の理解等は容易なようだ。試用の様子を写真3、4に示す。

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写真3 試用の様子
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写真4試用の様子

(3)京都ビジネス交流フェア2012での展示

 2月23日京都市内で行われたマッチングの催し「京都ビジネス交流フェア2012」の奈良高専ブースにて本ボードの展示を行った。組み込み関連企業の来場者からは、このような小規模のボードは市販品にはなく導入教育には適当ではないか、といった意見が聞かれた。ブースの様子を写真5に示す。

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図5 フェア会場の様子

(4)「元気なら組み込みシステム技術者の養成」報告会にて本プロジェクトの紹介

 3月14日奈良市にて本プロジェクトの教材等のコンテンツの元となる「元気なら組み込みシステム技術者の養成」報告会にて、「元気なら組み込みシステム技術者の養成」から派生した取り組みとして本取り組みを紹介した。発表資料の一部をスライド1に示す。

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スライド1
「元気なら組み込みシステム技術者の養成」
報告会スライド

(5)「高専の電気系学科における環境教育を考える研究会」にて本プロジェクトの紹介

   奈良高専の電気工学科が3月17日新大阪にて科独自に開催した「高専の電気系学科における環境教育を考える研究会」にて関連する取り組みとして本プロジェクトの概要を説明した。本研究会には奈良高専以外に近隣の高専から5名の電気系教員の参加があった。  参加者からは、興味のある取り組みであるが各高専の事情も異なるので本当に利用されるだろうか、といった意見が聞かれた。

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スライド2
「高専の電気系学科における環境教育を考える研究会」
スライド

3.次年度に向けての改良

   本ボードのようなFPGAの教材の場合、ダウンロードケーブルのコストの削減が課題となる。最近チップベンダのXilinxからも認められた低価格のダウンロードケーブルおよび基板実装型のダウンロードモジュールが入手できるようになった。コスト削減のためにこれらのケーブル、モジュールが利用できるよう改良型ボードの設計の準備を行った。写真6に従来ののXilinx純正ダウンロードケーブル、低価格ケーブル、基板実装モジュールの外観を示す。これらを利用することで、ダウンロードケーブルにかかる費用は1/2以下に削減できる。

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写真6
各種ダウンロードケーブル、
モジュール