モルフォロジー演算を用いた動画像処理に関する実験 土井研究室 武山和央
1.研究目的
モルフォロジー演算を用いて、与えられた動画データから特定方向に移動している物体の切り出しや消去を行う処理方法の構築と処理実験を行う。
目的に適した処理系の設計と通常の画像処理よりも効果的な処理手法を考察し、モルフォロジー演算についての知識と理解を深めていく。
2.研究方法
研究に用いる動画像の処理は、IEEE1394インターフェースを用いて、パソコンへ取り込む。取り込んだ画像を四つのモルフォロジー基本演算(dilationには図形を膨張させる作用があり、逆にerosionには図形を収縮させる作用がある。openingは図形の凸部や孤立した小さな領域を除去する内側からの平滑化作用をもち、closingは凹部や穴を除去する図形外側からの平滑化作用をもつ)を用いて図1の処理を施す。
図1はパソコンから取り出した図を一枚ずつ並べて立体に表したものである。図1(a)のように物体A、Bをそれぞれ特定方向に進めるとA´、B´のように長い立体で表すことができ、それらの物体に特定の立体構造要素を用いて特定方向に進んでいる物体の切り出しや消去を行う。
図1(a)に特定の構造要素を用いてerosionを施すと、図1(b)のように物体A´は削られてしまい図が収縮し中心の部分だけが残るが、物体B´は全て削られて無くなってしまう。
同じように図1(b)に特定の構造要素を用いてdilationを施すと、物体A´は膨張されて元のような図に戻るが物体B´は消去されたままである。
このような処理を行うために、機関車の模型を二台同時に逆方向に走らせた動画像をディジタルビデオからパソコンに取り込み、取り込んだ動画像にモルフォロジー基本演算を用いて処理を施す。
B A
(a) A・Bを特定方向に進めた図
(b) 図(a)にerosionを施した図
A B
(c) 図(b)にdilationを施した図
図1 モルフォロジーの処理例
3.実験結果
初めに機関車の模型二台を逆方向に走らせ、ディジタルビデオカメラからパソコンへ取り込み、そこから一つのフレームだけ抽出するプログラムを用いて、一つのフレームを切り出した。そのフレームを図2に示す。
図2動画から切り出したフレームの画像
4.研究方針
これからは、パソコンに取り込んだ動画像を処理する為のモルフォロジー演算プログラムを組み,実際に処理を行う。