(信学会関西学生会予稿2000.03)

ディジタルビデオと WindowsマルチメディアAPIを利用した

動画計測の試み

川邉 昌平 土井 滋貴

奈良工業高等専門学校専攻科 電子情報工学専攻

 

  1. はじめに
  2. 動画像処理は扱うデータ量が多いことや、データ入出力の高速性の要求などから、従来比較的大がかりな計算機システムを必要としてきた。しかし、パソコン性能の進歩により動画像処理が比較的安易にできるようになった。そこで、本研究では近年普及の進んでいるディジタルビデオより、直接パソコンへ動画をとりこみ、WindowsマルチメディアAPIを利用して動画の計測を試み、その利点と問題点について考察する。また、通常30枚秒のディジタルビデオの画像を 60枚/秒の画像に補完することにより、より細かい計測を行えるようにする処理方法についても提案する。

     

  3. AVIファイルについて
  4. AVI(Audio Video Interleave)ファイルは、リソース交換ファイル形式(RIFF:Resource Interchange File Format)で記憶される。RIFF形式のファイルは、マルチメディアデータの保存と交換のための一般的な手段を提供するものである。 AVI RIFFファイルを図解したものを図1に示す。メインのファイルヘッダーには、存在するストリームの数が保存され、ビデオストリームフォーマットやオーディオストリームフォーマットなどの情報が格納されている。実際のオーディオデータとビデオデータは、メインファイルヘッダーの後に格納されている。



    図1 AVI(RIFF)ファイル

  5. インタレース画像の分解
  6.  ディジタルビデオの画像は、通常2枚のインタレース画像を合成した30枚/秒で構成される。しかし、この構成方法では、図2(b) からも分かるように画像がちらついて画面には表示される。 これをおさえるために、30枚/秒の画像から画像情報を1行とばしで補完した 30枚/秒の画像と、残った画像情報を補完した 30枚/秒の画像にもとの画像を分ける。この操作を行うことによって、 60枚/秒の画像を得ることができる。本実験ではこの処理方法により、 60枚/秒毎の動きの抽出を行っている。

     

  7. 動画計測
  8.  本実験で計測を行う動画像は、移動物体を抽出しやすくするため背景を白、移動物体を黒の状態で撮影を行う。撮影した動画像は、直接パソコンへとりこみ、移動物体の抽出を行う。図2(a)は、とりこんだ動画像をグレイスケールで表したものである。また、抽出した物体のピクセルの差分値、重心点をグラフ化したものを図3に示す。

    図3より重心x点は山の登りと下りでは傾きが違い、 下りでの傾きが大きくなっていることから速度が速くなっていると分かる。 また、重心y点も速度が速くなっていることが分かる。同様に、差分のピクセル数が多くなっていることからも、速度が速くなっていると分かる。これらのことより、移動物体が抽出できたと考えられる。


    (a)全体図       (b)拡大図
    図2 撮影した動画像 


    図3 抽出物体の動き

  9. まとめ

 本実験により、ディジタルビデオより動画を直接パソコンへとりこみ、簡易に移動物体が抽出等の動画処理ができることが確認できた。また、30枚/秒の画像を60枚/秒の画像に補完することの有効性についても確認できた。


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