電子楽器テルミンに着目した
空間情報入力インターフェースの提案
(html版)
3D Input Interface
Focused on a Electronic Musical Instrument Theremin
大植裕之 土井滋貴 奈良工業高等専門学校
テルミンは空間上での人の手の動作によって音程・音量を変化させて演奏を行う電子楽器である。この動作をインターフェースとしての視点でとらえると、まさに空間情報を入力していることになる。私たちはこのテルミンに着目した新しい空間情報入力インターフェースを提案している。また、テルミンでは入力の操作量のフィードバックとして音程が利用されることになるが、本稿ではこの音程フィードバックの操作性への影響について述べる。空間情報入力、テルミン、音程フィードバック、操作性
- 1.はじめに
- テルミンは最古の電子楽器と言われていて、空間上での人の手の動作に対応して音程を変化させることができる。この動作をインターフェースとしての視点でとらえると、まさに空間情報を入力していることになる。私たちはこのテルミンに着目した新しい空間情報入力インターフェースを提案している。
また、テルミンを空間情報入力インターフェースとしてとらえると、入力の操作量のフィードバックとして音程が利用されることになる。本稿ではこの音程フィードバックの操作性への影響について述べる。
図1 操作量のフィードバック- 2.実験
- これまでにテルミンの空間情報入力インターフェースの振る舞いについていくつかの実験を試みた。ここでは以下の3つの実験システムについて音程のフィードバックの操作性に与える影響について述べる。実験システム 1は従来からの非接触型のインターフェース の方法であるビデオカメラを用いて、コンピ ュータに位置情報を与え、コンピュータから 視覚と聴覚による操作量のフィードバックがなされる装置を作製した。そして、操作時に音程のフィードバックがある場合とない場合に分けて操作性の比較を行った。 実験システム2、3はビデオカメラを用いず、テルミンそのものを用いた方法を使用する。この方法はテルミンから発生する音をコンピュータに入力し、その音の周波数を測定し、この周波数からコンピュータは画面操作の位置情報を得る。
操作実験の方法は、コンピュータの画面に示された「0」から「5」の数字のボタンに対して、指定された数字の入力を行うもので、5文字、20問を入力する操作時間を操作性を見る尺度として計測する。 結果としては、システム1では被験者は音程のフィードバックがあったほうが操作時間が短くなり操作性がよいということがわかった。しかしながら、テルミンを利用したシステム2、3では大きな差は見られなかった。これはシステム1では画像認識の際の誤差が 音程フィードバックによって補正され、操作性が向上した等の要因が考えられる。
図2 実験システム1
図3 実験システム2、3
図4 実験システム1の操作画面
図5 実験システム2、3の操作画面
表1 被験者の計測順序
グループ 楽器演奏経験の有無 計測順序 A 有 音あり→音なし→音あり→音なし B 有 音なし→音あり→音なし→音あり C 無 音あり→音なし→音あり→音なし D 無 音なし→音あり→音なし→音あり
図6 実験結果- 3.まとめ
- これらの実験を通じて、入力操作を行う際の聴覚のフィードバックは操作性に対して影響を与えることがわかった。
更に、テルミンを複数用いれば多次元の入力操作が可能になると考える。そこで、これらの原理を利用した非接触型の3次元入力も検討している。
図7 多次元入力装置- 参考文献
- [1]大植、土井:“音程フィードバックを用いた動きインターフェースの基礎実験”
平成14年電気関係学会関西支部連合大会,G14-3