H14.04.25

 
  研究室紹介
(2002年度専攻科ガイダンス用)
  土井研究室  土井滋貴

 
 

デジタルテルミン
それはテルミン愛好家 たちが
最も嫌うアプローチかもしれない。

 2002年度の土井研究室の中心となるテーマは、「様々な事象をゆらぎの視点で科学する」「動画を利用する」「物作りへの回帰」です。 

 ○ゆらぎ
 従来より当研究室では、快適さといったテーマでゆらぎを調べてきました。そこから判ったことは   「ゆらぎ」は「快適さ」つまり人に対する効果だけでな   く、物に対しても効果があるのでわないかという仮説です。従来よりこの仮説を証明するために、物を削る、溶かすといった作業についてのゆらぎの効果を確かめる実験を行ってきました。

 また関連したテーマとして、「空間・立体周波数の特徴と快適空間の関連性」についても計画しています。例えば無機質なビルの林立する都会の風景と様々な種類の木のある森を空間周波数スペクトルの特徴で比べた場合、前者は規則的な窓の配置に起因する比較的ピークの多いスペクトルになり、後者は顕著なピークがなく高域までなだらかに伸びたスペクトルとなることが予想されます。相関次元などの複雑性を調べる尺度でも同様な違いが現れるはずです。この物理的特徴とその場の心的あるいは意味的要素との関連について例えば「スペクトルのゆらぎ」というように「ゆらぎ」の視点で調査します。今年度は3次元のスペクトル分析も計画しています。

 ○動画
 
もう一つのテーマは「動画」です。処理すべき情報量の多さから「動画」からの様々な特徴や情報の抽出はまだまだ未知の領域がたくさん存在します。ある特定の形を持つ物体を取り出すとき、その物体の形が前もってわかっていればモルフォロジー演算により、抽出することが可能です。例えば細長い物体だけを取り出すときに構造要素を同じような形にし、Opening演算をすれば細長い物体だけが残ります。2次元のモルフォロジー演算を拡張することで、3次元の物体を抽出することもきます。例えば特定方向へ進む物体が2つあるとします。この軌跡は交差する2つの立体になります。この2つの立体から1つの立体を取り出せば、特定方向に移動する物体だけを取り出すことができます。

 また、動きのもつ物理量と心理的な意味との関係についても調査を始めました。つまり楽しい動き、怖い動きには物理的特徴差があるのかというアプローチです。

 ○物作りへの回帰 
近年のテーマはややもするとコンピュータの中だけの世界になってしまいがちでした。やはり物のあるテーマも重要です。そこで、古典的電子楽器テルミンを動画処理を利用してデジタル的に実現するデジタル・テルミンや 簡易型の超音波エコー造影装置を計画しています。