広範囲型入場者数カウンターの製作

 

目次

要約

第1章           まえがき                            (1)

第2章           人数計測法

2.1          各種人数カウント方法について

2.1.1      映像解析法                       (2)

2.1.2      赤外線センサ法                     (2)

2.1.3      足ふみセンサ法                     (3)

2.2          圧電素子とその他のセンサ                   (4)

2.3          カウントについて                       (5)

2.4          AD変換ボード                        (6)

第3章           研究結果

3.1          昨年に製作されたカウンターの動作確認

3.1.1          実際に歩く                        (7)

3.1.2          他のカウント                       (7)

3.2          余波や振動を伝わりにくくする

3.2.1          原因について考える                    (8)

3.2.2          ショックを吸収させてみる                 (9)

3.3          閾値を変える

3.3.1          原因について考える                    10

3.4          ブロックを増やす

3.4.1          複数人同時計測                      (12

3.5          カウント法を変える

3.5.1          最大値をとる                       (16

3.5.2          最大値計測のカウント                   (16

3.5.3          最大値での誤動作                     (18

3.6          余分な波形を不感時間とする

3.6.1          0地点でカウントする                   19

3.6.2          波形をリセットする                    20

第4章           考察

4.1 音声がでるようにする                      22

第5章           あとがき                            (24

謝辞

付録

 

 

 

 

 要約

 

 近年、多くの博物館、遊園地、駅や空港等の公共施設、スポーツをする球場や競技場、コンベンションセンター、コンサート等を行なうイベント会場、デパート、スーパーマーケット等で入場者の計測が行われている。こういった場所において出入りする人数や人の流れを把握することは、混雑緩和、警備や施設運営の効率化、売上げ向上、さらに顧客満足度のトータルな向上を図るため、最近特に重要となっている。現在一般的に使用されている計測の手段として用いられている方法は画像解析法や赤外線センサ法がほとんどである。しかし、出入り口の幅が広い時や複数ある場合、さらに屋外にあるといったこともあり、これらの方法ではコスト面で高価となる上、設置場所等にある程度制限がかかってしまう。時には人の手でカウントしなければならない場合もある。そこで、本研究では足ふみセンサ法を用いたカウンターの製作・改良を行なう。昨年に製作したカウンターの精度をあげることを目標に本研究を始めた。誤動作してしまうところを見つけ、その考えられる原因を調べてカウンター本体やプログラムを改良していったことによって、バタツキもなくなり、順方向へのカウントはもちろんのこと、逆方向へのカウントも正確になり、さらに順方向・逆方向に同時に歩いた時にも正確にカウントできるようになった。その他、複数人のカウントも可能となったため、確実に昨年以上に精度があがったと言える。

 

第1章 まえがき

 

 博物館、美術館、駅や空港の公共施設、球場や競技場、コンベンションセンターにイベント会場、デパート、スーパーマーケット等において出入りする人の数や流れを把握することは、混雑緩和、警備や施設運営の効率化、売上げ向上、さらに顧客満足度のトータルな向上を図るため、最近特に重要となっている。現在入場者数カウンターはさまざまな種類のものがあり、計測の手段として主に使用されているものは、映像解析法や赤外線センサー法である。しかし、奈良県立民族博物館のような出入り口が広く、さらに屋外に複数存在する場合における入場者のカウントをするに当たってこれらの二つの方法では、測定エリア・コスト面・設置の場所等にかなりの制限がかかってしまう。そこで低コストで且つ測定エリアや設置場所の制限がかからない人数計測法を考えた結果、昨年度に圧電素子を使用し出入り口が広く複数ある場合の広範囲な測定エリアを可能にする入場者数カウンタを製作し、入場者数を容易にカウントできる足踏みセンサー方式を用いた入場者数カウンタが完成した。だが、今年度に入ってカウンタの動作を確認したところ測定にかなり誤動作してしまうことがわかった。

 そこで今年度は、カウンタを動かしてその誤動作が起こる原因を探り、見つけ次第その原因を修復し昨年以上に精度を上げることを第一の目標として研究を始めた。さらに昨年以上の性能を得るためカウンタ本体やプログラムの改良を行っている。

 

第2章           人数計測法

 今回用いている足踏みセンサ法以外にも映像解析法や赤外線センサ法カウントの方法がある。

2.1          各種人数カウント方法について

2.1.1     映像解析法

 この映像解析法は、狭い範囲の入り口の場合には効果を発揮するが図2.1のように入り口が広範囲となった場合や複数人のカウントには、ほとんどその効果は発揮されない。そこでそれらの精度を上げるためにはコストがかかってしまう。

 

 


 


2.1 映像解析法

 

2.1.2     赤外線センサ法


 赤外線センサ法は複数人のカウントには不向きなうえ、人間の有無に関係なくカウントしてしまうデメリットをもつ。

2.2 赤外線センサ法

 

2.1.3     足踏みセンサ法

 この足踏みセンサ法は広範囲の測定にも効果を発揮し、人のカウントにも適していて且つ安価の圧電素子を使用しているため低コストでの製作が可能となる。


2.3 足踏みセンサ法

 


2.2          圧電素子とその他のセンサ

 センサにはそれぞれの用途によってさまざまな種類がある。本研究では歩く振動を感知してその信号を取り込みカウントする仕組みのため、圧電素子を使用する。圧電素子とは電圧を加えることで素子が振動し、それとは逆に素子が振動すると電圧が発生する性質を持っている。それを圧電効果といい電圧に変換することで、振動を電気的に検出するものである。また値段も安価であることから圧電ブザーを使用することにする。

 

1  各応用分野の使用センサ例

センサ

     応用分野

温度,湿度

物流

位置,時刻,衝撃

セキュリティー

画像,時刻

電子商取引

血圧,脈波,温度

ヘルス・ケア

照度,温度

省エネ

電流,電圧,温度

機器の遠隔制御

  

2.3          カウントについて


 カウントの仕組みは、290mm×290mmの板を4×4でつなぎ合わせたものを床に敷く。その上を歩くことで板の裏に付けてある圧電素子が振動や圧力を感知して、その信号をパソコンに取り付けてあるAD変換器に取り込む。そしてパソコンに信号を感知すると人数計測を行うプログラムを作成することでカウントをする。今年度は装置の精度をあげ複数人のカウントも可能となるようにする。図2.4に実験装置の概略図を図2.5に実験装置の裏側を示す。

2.4 実験装置の概略図

 

 

 

 


 


2.5 実験装置裏

 

2.4         AD変換ボード

 今回足踏みセンサに使用しているAD変換ボードには12ビット 16点AD変換ボード:PCI-3133を使用した。実際に使用したAD変換ボードと取り付けた様子の写真を図2.6に、配線図と接続図を図2.7示す。


         図2.6 実際に使用したAD変換ボード

 



          図2.7 配線図と接続図